一触即発?

 大学の後輩でネット仲間に有さんという人がいる。この間のぼくの風邪の苦しみを知って、パブロンと1000円以上のユンケル皇帝液の服用をすすめてくれた。その効果がさっそく現れたのか、今朝のぼくは元気。気力満々、蛮勇気凛々。
 通勤途中常磐線10両連結の7両目前方、「弱者」席にて。向かいの席には20代後半と思われる汚い格好のカップルがしっかり手を握りあい密着しあっている。女の方はミニスカ半股開き、男の方はぴったりパンツの全開状態。その隣にはぼくよりよぼよぼのじっちゃまが所在なげに小さくなって股を閉じて座っている・・・・とこういう案配に車内光景を確かめることができる程、朝9時過ぎの中距離列車は空いている幸運に恵まれることがある。今日の意外性の始まり始まり。
 ぼくの右隣はしっかりと眠ったふりをしているであろう若い女性、ぼくの左隣はしゃきっとしたスーツを身に纏っている若い男性。男性は、浅座りをし、大股を開いているから、きっといいところの会社の社員ではないんだろうなぁ、などと、彼の傲慢なさまざまな振る舞いに我慢をして耐えていた。背広のポケットに手を突っ込んではがさがさ、その度にぼくの左腕にその動きが露骨に伝わる、携帯を取りだしては仕舞の連続不快行為。ついに我慢の緒が切れたのが、新聞をパーと広げて読み始めた時。なにせ彼の右腕がぼくの左腕にほぼ密着して重なり、新聞はぼくの顔半分を覆ったからだ。「新聞、もっと狭めて読みなさいよ。」「何だよっ。」「さっきからがさごそがさごそ、オレの手や身体におまえのが触るんだよ、うっとーしー!」「関係ねーだろーっ!」・・イヤ、この「関係ねーだろ」ということばは日常職場で耳にタコができる程聞かされているから、ぼくにとっては少しの脅しにもならない、それが彼には不孝だったなぁ。それまで横向きでことばを出すだけだったぼくが、彼の方に身体を向けて覗き込み、「オレにゃ、関係あんだよっ」とやや巻き舌使い。今日は革ジャンでかっこいいよぼよぼ爺さんのぼく。にらみは慣れた所作。
 彼は無言で股をしっかりと閉じた。前の席のお二人さんの大股開きとはきわめて対照的であったなぁ。

 あーこわかった・・・。ぼく、もうおとなしくします。