2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

相互教育法

咳込みが激しくつらい一日。風邪引きさんです、今年のぼくは。 布団の中でセガン。集中できないものの、セガンの教育実践の筋を掴む努力。不治者救済院では10名の青少年の治療と教育を。いろいろと気づくことがあるが、中でも目を引いたのは、出来る子が未到…

影絵遊び

エドゥアール・セガンがその幼き日々の回想の場面として父親による影絵遊びを綴っている。「私たち、小さなブルゴーニュ人は、パパの手の動作が壁に、オオカミ、ノウサギあるいは椅子に座っている大工を表象する影絵を作ってくれた時、それを真似しようとし…

気力が少し萎えた日

二人の男子学生が来室。一人は進路相談、一人は受験相談。進路相談の君とのやり取り。 「自分は教師になることしか考えてなくてシューカツぜんぜんやってません。で、自分は編入してきたためにこっちのシステムで卒業までには教職の単位全部取れません。卒論…

さらにまた新しい発見ーセガン研究

セガン研究が深まれば深まるほど、セガンの「自我」の強さとそれによって想像的に創造された歴史記述とが鼻についてくる。だからこそ、それに全面的に依拠してきたこれまでのセガン研究史とが、色あせてくる。果てしないクリティーク。 今日は、フランス国立…

あるメッセージ

不安定な精神状況を思わせるレポートの記述。同一ページ、同一段落で「価値観」「価値感」などの併記記述に象徴されている。顔は分からないが名前にはしっかりと覚えがある。「どうしても実名で自分の声を皆に届けることができない。対人恐怖症に陥っている…

着々とだが

まぶしく輝くような今日の陽光。久しぶりに味わう景色である。小鳥たちが構内の木々の幹に止まりついばみをしている。樹の中で眠っていた小虫たちも誘われて起き出したのだな。しかし、体調は不全。ぶり返したか?細君も上娘も臥せっているが、インフルエン…

再始動

19日の月曜日から体調が悪く20日から23日朝まで横になったまま何一つ物事を進めることができなかった。大量の学生レポート採点はまったく手をつけていない。今日は何をおいても、汚してしまった研究室を清掃しなければ、来客も迎え入れることができな…

ショートショート 第3回 そのあたり目に見ゆるものは肉々し

おひげを立派に伸ばし飄々としておられた「仙人先生」の授業の試験監督をおおせつかった。机間巡視などして時を過ごしたが、どう見ても場所にそぐわないファッションの若者が多い。なんだね、試験の最中にあの黒い帽子は。なんだね、あのクルクル茶髪と肌の…

レポートに見られる誤字一覧

「授業に望む際」(授業に臨む際)、 「友達間隔」(友達感覚)、 「時刻の歴史や文化」(自国の歴史や文化)、 「職業適正」(職業適性)、 「理念に乗っ取る」(理念に則る)、 「何も考えないこととはすなわち無感心のこと」(無関心)、 「講議」(講義…

ショートショート 第2回 あらとうとう抜け歯水洟禿げ光

某月某日 光り輝く朝 家族からようやく開放された洗面台に向かう。歯を磨く。歯ブラシがやたらがちがちという音を立てる。そういえば、夕べ犬歯がスポッと抜けたのだったな。 奥歯はごまかすのが簡単だけど、人様に犬歯がないのに気づかれないためには、どう…

唇にガブッ

終日、パソコンに向かい、文献目録を作成。発音の練習のつもりで音読。左手にクッキーをつまみ持ち、右手だけで入力。音読スピードと相性がいい。 マーが机に上って来たのはクッキー狙い。そうはさそじと左手をマーから遠ざけた途端、マーががふりと口に噛み…

ショートショート 第1回 場にそむくギャルや声の浮き心

「携帯電話の波及効果」の講義に熱弁をふるっていた教授の耳に倖田來未のyouのメロディーが聞こえてきた。が、すぐに音楽は止み寝ぼけハスキーの「もしもし」に変わる。 「ぁ、クミぃ、今授業中って感じぃっ。・・・いいよぉ、べつにぃ。・・・うん、ウザイ…

温む日の店覗き

厳しい冬の到来とHP表紙に記したその翌日、春の入り口を思わせる陽気。百周年記念会館横の白梅がぱっと花を咲かせた。 センター試験の時期になったが、我が大学は導入していない天晴れな大学であり、お陰で学生のレポートをじっくりと読み指導方針を掴むこと…

「狂人保護法」の原典(全文)、ようやく入手

フーコーが厳しく批判した1838年のいわゆる「狂人保護法」( Loi sur les aliénés n° 7443 du 30 juin 1838)をやっと入手。今までホンの一部分しか見ていなかったので「セガン研究」の中ではほとんど触れることができなかった。1838年はセガンが「白痴」の…

「セガン教具」に思いを馳せて

ガトゥ(Jacqueline Gateaux-Mennecier)先生の、1986年にパリ第5ソルボンヌ―ルネ・デカルト大学社会科学養成研究系に提出され社会学博士号が授与された論文「19世紀末と20世紀初頭における精神病医、教育心理学者たちと精神障害―ビセートルの子ども達への(…

突然ですが・・・「ストラスブール大学の歌」

ストラスブール大学の歌 ルイ・アラゴン 陽の色に輝やくカテドラル ドイツ人どもに囚われながら おまえは倦むことなく数える めぐる季節を 月日を 流れる時を おお ストラスブールのカテドラル 学生たちは別れを告げて逃れ出た アルザスの空翔ぶ鵠鶴と おま…

世の中ワープロ依存症候群 ー ぼくはタイピング依存症だけど

ぼくは教育界における「近代化」「現代化」に嫌悪感を持ってきて生きてきた。「手作り」派であった。しかし、かつての職場で、願いもしない職場への配置換えを受けてから、ぼくは一気に「手作り」派であることをやめざるを得なかった。 毎日職場に向かうのは…

ジャマイカ・レポート(再)

ジャマイカは日本の秋田県ほどの面積の国土を持つ人口250万の小国。約80%がアフロ・ジャマイカンすなわちアフリカ系黒人が国民の大半を占めている。2002年が独立40周年。国土のほとんどが2000メートル級の山地で覆われ、四方に開かれた海岸はそのほとんどが…

新しい学力問題

今年の学生レポートは誤字が少ない。ある授業では手書きレポートを課しているが、大抵の者がきれいに書いている。もちろん見た目のことだけど。オヤ、今年は基礎学力の問題で頭を痛めなくてもいいのだなー、とつぶやきながら、レポートを読み進めていった。 …

教育論考察のために

新しい教育学書の編集企画に頭を悩ませ続けている中で、どうしてもおさらいしておきたいものは、「近代」論である。とりわけ欧米の思想・哲学をほぼ全面的にバック・グラウンドとしている「世界教育学」を総括し、新たな方向性を見いたすためには、1.ヨーロ…

エドゥワード・セガン「白痴たちの治療と教育の起源」(1856年) 翻訳まえがき

エドゥワード・セガンは、1812年、フランス王国東部・ブルゴーニュ地方の小さな町クラムシーに生まれた。10代半ばにパリに出、超エリート養成の中等教育学校コレージュ・サン=ルイに学ぶ。在学中、サン=シモンの唱える「新キリスト教」主義に共鳴しサン=…

もうすぐ新入学

昨日はイアン一家に招待された食事会。併せて、善のランドセルを買い求める。ランドセルは食事のお返しにぼくからプレゼント。「ランドセルはわが学習院が考案したものなのだよ。」と暁に言うと、「へー、ほんとー」と意外そうな顔をした。思春期の頃の彼女…

イロイロと

昨夜から読み始めた森村誠一の新刊『武士の尾』(幻冬社)を読了。赤穂浪士の一員だが、討ち入りに加盟しなかった高田郡兵衛を主人公に。武士道の完遂から逃れ『人間』として生きる道に喜びを見出したものの、討ち入りの2年後、柳沢吉保を襲撃する。未遂に終…

フランス共和国ニエーヴル県クラムシー・コミューン訪問のために

せっかく研究室に「春」を呼び込んだのに、外は切れるような寒さ。めげずに、4月からのサバティカルに思いを寄せる。何よりも、エドゥアール・オネジム・セガン生誕の地フランス共和国ニエーヴル県クラムシー・コミューンと、セガンの父生誕の地フランス共和…

始動!

今日から事務室が開いた。昨年来の事務を仕上げ提出。同時に、サバティカルの全体計画案の作成に着手。 1.フランス、パリおよびブルゴーニュ地方での調査研究。およそ1ヶ月を予定しているが、場合によっては、その倍ほどもかかるかもしれない。現地で協力…

梅は咲いたが桜はまだかいな、老教授鶴

昨日固いつぼみを見かけた百周年記念会館横手の梅が、今朝は幾輪か白い花びらをほころばせていた。 梅の木本には樫の実が多く落ちていた。このあたりは晩秋から一気に早春へと移ったような自然光景だ。旧暦カレンダーどおりだなぁ。 ぼく自身、社会に行動的…

何十年ぶりとは大げさか

昨夜、和歌山県西牟婁郡すさみ町長の橋本明彦氏に、学生指導上から生じた依頼ごとのため、電話をした。橋本氏、いや、受話器を通してだが、橋本君の生声は、かつて交流を盛んにした彼の学生時代およびその後しばらくの間の時代の声色、声調などとほとんど変…

トド鶴恒例初詣 「国家を裏手で牛耳るぞ!」

「初詣、今年はどこに参りましょうか?」 「えっとねー、候補はねー、愛宕神社、氷川神社、日枝神社。」 「それ、全部ですか?よござんすね。」 「欲張りすぎですよー!どれかにツルピンが決めて、エスコートしなさい。」 「エスケープなら得意ですが・・・…

新年顔見世 本年もよろしくお願いします

まずは、本年初の顔見世。日ごろお会いできない方々にブログでご挨拶をば。明けましておめでとうございます。本年も本ブログをご愛読くださいますように。 我ながら、押しも押されぬ爺だがや。575 今年はどんな年になるのやら。神や仏に願掛けの「初詣」のお…

研究課題を整備

家族は出かけ、猫とお留守番。甘えん坊のハナがぼくの仕事のそばをうろうろ、ほかは、温かい部屋で団子になって昼寝中。 朝から、2006年以降につかんできた研究の「柱」の整理。そもそもぼくの研究のはじめはどういうことだったのか。面白い記録を見出す、しか…