イロイロと

 昨夜から読み始めた森村誠一の新刊『武士の尾』(幻冬社)を読了。赤穂浪士の一員だが、討ち入りに加盟しなかった高田郡兵衛を主人公に。武士道の完遂から逃れ『人間』として生きる道に喜びを見出したものの、討ち入りの2年後、柳沢吉保を襲撃する。未遂に終わるが、それは、高田の切っても切れなった武士の尾の現われであった。森村「忠臣蔵」にはいつも人間の生き方を考えさせられるし、ここ数年間で「武士道」精神の復活が叫ばれている中での本書の出版はとても意味がある。武士道に生きることは「人間」として生きることではない、武士を形成する形式に生きることでしかないのだということを教えられた。
 そのほか、新著出版の趣意書作成を手がけるが、全く哲学的なことが言葉として出てこない。近代を超克する時代論と教育論との結合。
 セガンの1856年論文の翻訳の手直し。かなり大掛かりの手直しとなる。