上野不忍池

jittyan2011-04-06

 冬の寒さが飛ぶ日だというので貴婦人にお供をお願いし、上野を散策した。11時に湯島天神様へ。じつは昼食をデリーでカレーをいただこうと店に行ったがまだ開店時間には早すぎた故。しかし、天神様の境内で眼光鋭い鳩と出会って、気分は浮き立つ。

 番鳥もおります。

 ゴイサギが水辺にその美しい姿を写す。

 散り始めた桜花に人影が写る。

 東京の霞を透かして新タワーが写る。

 椋鳥が飛び立つ。

 さや風に柳の細腰が揺れ、桜花が微笑む。

 貴婦人の願掛け。

 あ、そうだった。お花見に来たんだった。人群れを隠すのに一苦労の撮影でした。

 自粛要請があるので座り込んで歌唄い、酒飲み、哄笑の姿は例年に比べて少ないが、それでも歩行の妨げをしているグループも少なくない。たった3人の女性で大きなブルーシートを広げて仲間待ち、手鏡おっぴろげて化粧に余念がないのには、腹が立ったな。
 上野のお山を通り、西郷さんにご挨拶をし、アメ横を冷やかす。まあ、ここも人群れが多い。値引き競争が売りのはずなのに、「当店での値引きはご容赦ください」という看板が立っている。その店で買い物。やっぱり値引きはなかった。
 吉池に立ち寄り、のれそれを見つけたので、思わず購入。生活綴り方の雄小砂丘忠義のエッセイにも登場し、彼と同志の漫画家中島菊夫の作品「のれそれ天狗」でもお馴染みのアナゴの稚魚である。
 「これでぐーんと冷えた生をいただきますか。」「まー、おいしそう!」 ぼくが下戸であることを知っていての貴婦人のこのことば、うれしいですね。背中のリュックには埼玉大学生活綴方ゼミ報告集第2号が入っている。表紙絵が小砂丘忠義、3月11日大災害で犠牲になったS君の遺稿が掲載されている。彼は小砂丘を研究していた。S君、リュックの中で、花見を楽しんでくれましたか?のれそれをリュックにしまう時、そうささやいた。
 陽が落ちるのは早い。さあ、早くお家に帰りなさい。東武船橋駅ホームから携帯カメラで撮影。