筏と貨列に関する初期筏師年表

どうやら1840年代に「筏師」史を纏めようとする気運が高まっていたようだ。それは近代工業社会に突入する時代状況の中で、河川運業と「人力」とが乖離し始めたこと、つまり蒸気船が運航され始めたことと深く関わるのだろう。そうだとすると、先に紹介した古代からこの時代までの筏に関わる法令集は「近代産業社会」へ向けた「前近代産業社会」に対する惜別の書と言えるのかもしれない。以下は、「筏師」業の起こりに関わる年表。ぼくが今後調べを深めようとするのは「薪材」の「筏師」であるから、自ずと下の年表の読み方も異なってくる。16世紀半ばに薪材を筏に組みそれを筏師が運行するという独特の産業が成立し19世紀後半まで持続された。下表の「筏師の名前」とあるのは職人としての筏師ではなく、雇用者名(総元締)であろう。
**********************************************
年 筏師の名前 木材の用途 河川名等
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紀元前1013年 Hiram(Try王) 建築資材 地中海
紀元前71年 穴居民たち 香木 ユーラス川(?)
1415年 シャルル6世治世下氏名不詳の筏師たち 建築資材 セーヌ川マルヌ川
1544年 ジョアン・ウースタス 建築資材 セーヌ川
1546年 ギル・ドゥフロアス 薪材 キィール川
1547年 シャルル・ルコント 薪材 ヨンヌ川
1549年 ジャン・ルーヴ 薪材 キール
1550年 ギロウム・サロニエ 薪材ならびに建築資材 ヨンヌ川とキィール川
1566年 ルネ・アーノィ 薪材 ヨンヌ川とキィール川
1569年 シャルル・ルコントとルネ・アーノィ 薪材ならびに建築資材 ヨンヌ川とキィール川
1582年 ギロウム・ギラールとギロウム・マジィリエ 薪材ならびに建築資材 ヨンヌ川とキィール川
1632年 ドゥ・フロァニィ 薪材ならびに建築資材 ウルク川とヴェル川
1635年 ベルトール 薪材 トロイの北Lesgne
1656年 トゥルノゥとゴブラン 建築資材 マルヌ川マルヌ川
************************************************
明日から後期授業に入る。今日は第一回授業の教材作成作業。