関西風ウナギの蒲焼き

 昨夜はふぐ料理をいただいた。
 その店の看板に、ふぐ・うなぎ と大書されていたのが気になっていた。ふぐ料理はとてもおいしかった。飲めないぼくなのに、ひれ酒をグビッとやるほどにおいしかった。で、隣のテーブルの賑やかすぎるおじさん軍団のテーブルに、鰻重が運ばれてきた。のぞき見ることができるほどの近い距離ではないので、心の中で、「ここはお江戸のど真ん中。関西風のウナギであるわけはないよな。」とつぶやく。そこへ店のお姉さんがやってきたので、「私は関西風のウナギの蒲焼きを食べたいと思っているのですが、無理でしょうね。」と問うと、少々お待ちください、と店の奥に入っていき、すぐ戻ってきた。両手もみもみしながら・・・ていうのは映画の中だけの姿でしかないけれど、現実にはまさにそのような風情で、しかも、「手前どもの店では、関西風も江戸前も、お客様のご要望通り、料理いたします次第で。」との言葉内容を、鈴が鳴るようなお声で話されるではないか。「じゃ、じゃ、じゃ、・・それ、予約すれば食べられるんですね。」とアホ鶴は劇画調のうわずった声と本人はおぼしき銅鑼声で訊ねると、すぐに調理できます、というではないか。これは食べなければ、関西ウナギ憧憬者は帰るに帰れない、しかし、ふぐで腹一杯。思案のあげく、「すみません、〇人前、お持ち帰りでお願いします。」と、ついに、大江戸において、蒸す、白焼きにするという訳の分からない料理手順を踏んでふにゃふにゃの蒲焼きにしてしまっているという悪癖とは一線を画した、脂身でしっかりとした厚みのある、かみ応えのある蒲焼きを食することが可能となったのであった。
 んまーい!

 今夜は卒業生と久しぶりにどんちゃかどんちゃか。どういうことになりますやら。