好転せず

 目眩と吐き気、強さは和らいではいるけれど、今日一日、何らかでついて回った。原稿校正(出版社渡し)、授業、会議、明日の授業の準備。とくに授業ではいつも以上に力を入れないとふらつく身体を支えられないと思い話をした。やたら引っ張りたがる人(=「オレがオレが」)、むやみに人に従う人(「皆さんで決めて下さい。私はありません」)、こんな人ばかりが教師をやっているのではないかと思うほど、対話、討議が成り立ちにくい教育現場。そんな教師にはなってもらいたくない。担任するクラスの「気になること」を職員間で交流しあうことだけでも、立派な生活指導になるはず、何故なら、そこに、助言、提言が生まれるから。
 空気のように存在していた日本の文化が確実に壊されている現実の教室。「大あくびをした君、君は、家庭でも、学校でも、人前であくびを何とか抑える、抑えられないなら手で隠すとか、そういうこと、教わってこなかった?」250人教室でほぼ一番後ろの男子学生に声をかけた。「ハイ」とポケットに手を突っ込んだカッコで座ったまま返答(もちろん声は聞こえないけれど身体の動きで判断)。「言うけれどさ、たとえ教師にならないとしても、今のような大あくびを習性にしていたら、職場の上司の覚え悪いよ、当たり前に身につけていなければならないことさえ身につけていないなら、社会性の欠如だとみなされるよ。それが隠れた日本文化。それこそが人間性を評価するの。そのほか、人前でする「化粧」。「平常から化ける装いをするから化粧、そのプロセスをおおっぴらにするってこと自体、アンビリバボーだよね。こうした「隠れた文化」がきちんと伝えられない社会ってのは、非常に不安定で、何が起こっても不思議じゃないね。」