こいつぁ〜春から〜

 貴婦人と浅草へ。3月2日の「記念日」にある仕掛けをしようと考えているのだが、その仕掛け材の購入に貴婦人におつきあいいただいた。ぼくがこっちだこっちだと人混みをかき分けて進んでいくのに対して、貴婦人は、違うと思います・・・・。結局貴婦人のいうところに店があり、希望の品は入手できた。貴婦人さま、道案内ならびに聴覚障害者の会話支援をありがとうございました。
 その後は初詣。浅草寺は近寄る気にさえならない混雑ぶりで、当初から裏浅草を考えていたので、街に張り出されている地図などを頼りとして、まず、浅間神社。えっと、あの〜、お参り、誰もしてませんね、…、おとりさまご案内〜。という静けさ。ぴしっと閉まった本堂のガラス戸の向こうはどんな案配じゃ?好奇心旺盛。磨りガラスで覆われている中でも透明ガラスの部分があり、そこから内部をパチリ!貴婦人でさえ気づかない早業でありました。


 その後、お稲荷さんに寄り、貴婦人が力石で力自慢をし、

 大根寺に回って、ぼくの大根役者ぶりがうまくいきますようにと願をかけ、

 さあ、今回の浅草行の本当の狙いを実現しようと界隈に目的を探し歩いたわけです。「このあたり、いや、ここですね、ヤツメウナギって書いた看板が立てられていたのは。」
 しかし、どうしても見つかりません。貴婦人が喫茶店のおばあさんにヤツメウナギを食べさせるうなぎ屋さんの所在を尋ねてくれましたが、分かりません。うーん、ぼくが花鳥風月さんの人力車で、隣にうら若い美女を侍らせて、「なんかうまいもんナインカイナ」と、左右を眺めていた時に視界に入ってきた看板は、幻だったのか。美女の妖気にあてられてしまっていたのか。
 ここで「ありませんね〜、ンなら、帰りまひょか。」などと言ったら、貴婦人が今後、店探し、通訳の任を勤めて下さるという保障はまったくない。せっかくのお正月だ、一年の贅沢計は元旦ですべて使い果たそうではないか、と決意し、貴婦人に、「スッポン食べましょうか?」と大声で囁いた次第(ぼくが囁いても、大声になってしまうのです)。幸いご同意をいただき、まだ暖簾は出ていないお店の戸を開けた…。
 熱燗のヒレ酒で乾杯をし、
 付きだし

 スッポンの血

 スッポンの生肝など

 スッポン鍋 あ、ぼくはあくまでも添え物。煮ても焼いても食えません。

 「姫さまを入れて3人で食べても十分ね」とは貴婦人。そ、そう、・・そうですよ、ね!
 すっかりお腹が一杯になり、身体も温まり、暗くなった浅草の街に出ました。せめて帰りは、と、人通りが少なくなった仲見世通りを通って、帰路につきました。頭上には、まさにお正月らしい飾り看板が掲げられていました。

 さあ、明日から冬学期。がんばります。