「繋がり」

治療期間が終わりリハビリだけの入院生活。ドクターは自宅ならトイレにいくのは這って行けるから退院できますよ、と少し笑いながらいう。まあ、そういうことなのだろう。しかしそれを現実にするには、例え自宅とはいえ、ぼくのちっぼけな尊厳が損なわれるだろうし、生活体としての家庭が間違いなく壊される。だから引き続いて入院生活となる。
この入院はリハビリ専念だ。動くようになった手足などが、尊厳を保ち、生活体としての家庭が保たれ、あまつさえ、社会的自立を可能にする、本当に本質的な訓練、いや治療だ。リハビリに加えて必要なのが、ぼくが「繋がり」を得ること。病院は社会とは隔絶された世界。いくら歩行器で移動が可能になっても社会のなかの移動ではない。自分が社会のどのような立ち位置にあるのか、必要とされているのか不明ならば、籠の鳥。トドちゃん、姫さま、ちかさんが、それぞれの方法で「繋がり」を持って下さる。だからぼくは隔絶感はない。その他いろいろ。
朝は6時過ぎ電灯。温かいおしほりとお茶が配られ、入れ替わり売店で購入するものはないかとの御用聞き、続いて健康観察のための会話。さらに床掃除。無言の行のように感じるが、ぼくの聴覚に難があるからかも知れない。これらもまた「繋がり」感を強めてくれる。
さあ、今日もリハビリを楽しもう。