ろくでもない

 御大が資料を検索してほしいとファックスで注文。どこの機関・個人が蔵しているか、という問いのようなのだけど、ぼくはめんどくさがり屋だから、結局、古書を漁ることになる。で、御大ご注文の内一冊だけありそうだ。「今からお店に伺います」と電話で行き順を訊ねたところ、某駅右に降りアーケード街を通り抜けフニャラ商店街を進んで5軒ほどで左側が我が店だ、とご案内。某駅右、のところは間違えたら大変だから、何度も問いただす。進行方向右、という回答。
 メールで住所・電話番号を送ってもらい、プリントアウトして、さー、レッツゴー! セガンはとりあえず一休みできるので、少々心に余裕が生まれている。
 で、某駅を下りた。右に出る。「アーケード街・・・」探せども見つからない。そうだ住所を確かめよう。あ、持ってきたのは財布と定期だけだった!携帯もない・・・。おろおろ・・・。某駅ではなく某某駅だったのかしら。某某駅に下りる。アーケード・・・あったあった。アーケードが切れたぞ。ん?どっちだ?とりあえず一つの道を選んだ。5軒ほど行ったところで、左ではなく右側に古書店がある。が、名前が違う。困ったなぁ。思い切ってその古書店に入り、「すみません、商売敵の情報を教えて下さい。」と申し出る。古書店の主にしてはあまりにもいい愛想なので、思わず「「新興教育」の教師」という弾圧史料16000円也を購入。こんなところにあるとは・・だって、漫画とエロ本が店の9割だもの。おやじさん、「お宅の探している店は某某駅界隈にはないぞ。」とのたまう。でも16000円の鼻薬はしっかり効いた。「東京古書店名鑑」なる冊子を出し、ぼくの求める古書店を探り当て、住所と電話番号を記帳し、「某駅から相当距離があるよ。この間、この近くで火事があった。」などの情報を下さった。
 某駅に戻り、住所を頼りに古書店を探す。某駅を下りて右ではなく、左側に出るーだって、さっきで懲りたからー。アーケード街を見つけ(一つだけだった)、そこを通り抜けると(通り抜けるまでにだらだら坂で大変だった)、フニャラ商店街とある。ここも上り坂。御大のためなら、エーンヤコーラ―・・・。5軒ではなく5分、いやもっと10分だった。
 求める古書を手にしたぼくは、先ほどの16000円の重い本がとても軽い本だと思えるようになった。