「新学期」やなぁ。

 今日の新学期はカギ括弧付。
 いつものように駅改札を出て右手に30秒程歩き信号を渡り、通い慣れた西門に向かう。にこやかな笑みを浮かべた門衛が、いつもの立ち位置とは違って門の外側に出ている。いつものように「おはようございます」と門衛に声を掛けて門をくぐろうとすると、門衛が立ちはだかった。ん?「どちらへ?」んっと・・・「中央教育研究棟です。」この受け応えの間、人相と柄の悪そうなケツパンや街娼婦ファッション数人が馬鹿笑いしながらぼくの脇を通り抜け、構内に入って行った。彼らにはもう一人の守衛は声も掛けない。どうもいけない腹の虫が蠢き始めたぞ。「どのようなご用で?」すかさずぼくはニタッと笑い、「あなたと同じくここで給料を貰っていますが、今日は仕事をしちゃいけないというのなら帰ります。」「いえ、そういうわけではなく、職務上の誰何でございまして・・・」「そうですかねぇ、ノーネクタイ、背中にリュック、よぼよぼの爺さん、知性も感じられない、ってところが怪しい!でしょう、あなたの職務上の誰何の元は。日常はここはこんな爺さん以上のシシババを含めた市民に開放しているはずですが。何でまた今日は・・」「失礼しました。どうぞお通り下さい。」
  どうしていつもいつも、オレはこうやって誰何されるんかいな。20年のキャリヤを持つ職員なんだぞ。そうそう、「新学期」だから。門衛さんも新しい。大学というところは挨拶をする者はあやしくて、世間的には「悪」と思われそうなのが正義とみなされるっと・・・。そんな新人教育を受けたのかしらねぇ。