動物物語

jittyan2011-08-07

 昨日来、ホテル近辺ですれ違う人が、ぼくのことを振り返っているような気に襲われている。ずーーーーと前に、学生からあまりいい男ではない俳優さんに似ていると言われたことがあったが、昨今はまったくそう言われることがないから、さて、気のせいなのかと思っていた。時々、この出っ張った腹が気になるので、歩きながらぽんと叩くことはある。でも、そういうしぐさに合わせて振りかえられているわけでもない。
 今朝のこと、さて、いずこに出かけようかと、ホテル近くの繁華街入り口で立ち止まっていたところ、妙齢よりかなりお年を召したご婦人がぼくを見やり、立ち止まり、じっと顔を見、「どこかでお会いしましたよね。どなた?」とおっしゃる。「いいえ。」と答えたら、ご婦人、はっと思い立った様子で顔が晴れやかになり、頭上を見上げ、「失礼しました。」と立ち去っていった。頭上には

こんなのがおりました。
 うーん。
 ここは狸小路という商店街。そのシンボル。そか、おら、狸だすか。化かしてやりたいがなぁ。ちゃんと、神社もしつらえてございます。ぽーーん。狸の鳴き声はジャージャーであって、ポンではないのだけれど。

 地下鉄駅大通まで出て東西線に乗り込み、円山公園駅で下車。気持ちはいつしか円山動物園に向いていた。ハシブトカラスのご案内。なかなかいい顔をしているでないの。

 動物園で真っ先にお目にかかったのは、レッサーパンダ。貴婦人の愛する生き物ゆえ、写真をシャメでお送りすることにした。ほんま、いつ、どこで見ても、レッサーパンダは愛くるしいのぉ。白黒パンダより数段素敵だと、思います。図体もでかくないしな。

 ガラスを叩いてレッサーパンダを振り向かせようとする馬鹿爺に「やめなさいよ!」ときつく叱ったところ、馬鹿爺がけんか腰で怒鳴り返してきた。当然黙ってはいないぼく。「あんた、小さな子どもの前で恥ずかしくないのかっ」。再び馬鹿爺曰く、「なんだよ、てめー」。脇にいたかわいい男の子、「じいちゃん、やめてよ、じいちゃんが悪いんだからっ!」 未来を託そう、この子どもに。馬鹿爺、失せな。
 続いて、写真は途中たくさん省略し、日本猿コーナー。ぼくには珍しいこと。でも、今日のこの猿山は、じつに見応え?がございました。
 二頭が岩壁に身体をくっつけ、ごにょごにょ語り合っています。
 「ねー、私、家出したいの。」
 「どうやって家出しようか。」
 「ちょっと周りの様子見てみるね。」
 ・・・・・・




 「みんな、まったく気が緩んでるわよ。」
 ・・・・てなことなのでしょうか?
 お次はアザラシ。「手を出さないように。噛まれることもあります。」という注意書きがありました。むかーし昔、実の子どもたちをさておいて我が細君、あろうことか柵から身体をのり出して「わーゴマちゃんだ」などと嬌声を挙げていたその時、一頭のゴマフアザラシがわが細君の傍に泳ぎきたり、まるでいい子いい子をねだっているような風情でしばし泳ぎを止め、細君の手のひらを頭の上に乗せていた、噛むなんてそんな粗暴なそぶりはまったく見られませんでしたな。そんなことを思い出したしだいです。今日のゴマちゃんやゼニちゃん大勢は、ただひたすら眠りこけておりましたが、一頭のゼニガタアザラシが、やにわに顔を掻きだしたのです。その瞬間をパチリ。

 近くでは、奥ゆかしいお方が一時も休まず優雅に泳いでおられました。なかなかご尊顔を拝し奉ることができませぬ。大食らいなのが心配だと、ガイドにはございました。

 とにかく暑い日ですから、キリンさんのこんなアクビや ―事実は摂食中の表情です。

 こんな寝ぼけ眼の生き物がたくさんいました。このレッサーパンダちゃんは女の子、名前はココちゃんというようです。

 でも、しゃんとしたたくましい日本の坊やもいました。ほら、こういう座り方、読者の皆さん、もう忘れてますでしょう?

 鶴爺、一組の姉妹をガールハント。「ねー、お願い、ここに立ってください。写真を撮りたいの。」ガールズ、すっかり緊張の顔をリアルに見せていました。「ありがとう。」

 すっかり満足した半日でありました。