ズーム30倍とな

 今日の午後7時前。まん丸夕陽―それはもう見事な夕陽でしたが、電車の中故、カメラに収められなかった―が西に沈んだ頃、ぼくは東武野田線船橋駅の柏寄りホームの端に立った。手にはカメラ。ずっと先の方のレールが赤く輝いているのが魅力的な光景を創り出していた。まずはノーマル倍率でパチリ。

 レールの赤い輝きはうまく写し取れていないようだ。目とカメラとの違いを思い知らされる。では、未知な経験30倍ズーム。こんなの初めて。三脚も使わず、ちゃんと写せるのか。とりあえず両脇をしっかり固め、ファインダーから先の光景を覗き込む。モニターではどうしても画像が揺れてしまうからだ。

 さあ、どうだ。後は家に帰ってのお楽しみ…。
 いや何ね、札幌で、さあホテルをチェックアウトしようとして荷物を持ち上げたとたん、ガシャーンと、愛用機を落としてしまった。修理に出すにしてもフランスへの旅には間に合わない。別に「高級機」があるにはあるが、今のぼくには重すぎて、てくてくてくてくと歩くだけの旅程では、その操作に身体的負担を強く感じることとなる。そこで、ええい、と思い切った次第。なるべく今あるカメラ諸具は利用したい、そして壊してしまった機種ほどの性能を持つカメラを! 結局、SONYDSC-HX1の後継機SONYDSC-HX100Vを選んだ。マニュアルを読んでびっくり、3D撮影が可能だとか。うーん、時代やのう。が、オラには必要ないダ。ついでにパノラマもいらんでぇ。
 今度は落としなさんなよ。