親に人生をコントロールされる・・・

 ぼくの前で大粒の涙を落とす若者。親に暴力的に関わられていると語る。親の思う通りの人生を生きることを求められ続けてきた、限界になっている、と訴える。愛情を過信するあまり暴力で従わせる。児童虐待の本質と変わらない。
 反抗を認められない子どもは自虐的に振る舞って嵐の時を過ごすしか手立てがない。
 ようやく語る場を得たと、泣きじゃくる。対処療法には何の役にも立たないじいさまの部屋だけれど、泣きたくなったら泣きに来ればいい、語りたくなったら語りに来ればいい。ついでにお菓子をつまみたくなったらつまみに来ればいい。
 様態はまるで違うけれど、精神世界はかつて出入りしていた忠夫君が帰ってきたみたいだ。