セガン研究報

 日本セガン研究会会報『セガン研究報』第3巻第1号(通巻8号)が出来上がったとの連絡をいただいた。「セガン生誕200年記念」活動の≪一つ≫が産み出されたことになる。他のところでは行われるのだろうか?そういった情報は入ってこない。
 「セガン」が「知的障害教育の開拓者」と冠を付けて語られるためだろう、きわめて狭い専門性の枠の中に閉じ込められてしまっている。それがいけないとかどうとかの問題ではなく、一人の人間が歴史の流れの中で生き、活動をすることによって産み出される「宝物」は限定すべきではないという問題だと捉えたい。たとえばセガンが、幼児教育の開拓への筋道を作った人というように冠が付けられたら、さらに広がりが見られるだろう。あるいは、フレーベルの「恩物」とは異なった近代幼児教具(ないしは玩具)の創造者だといえば、さらに異なった評価も生まれてくるだろう。あるいは、これはぼくの迫り方だし他に例を知らないのだけれど、近代の草創期におけるエリート青年の自立課題との絡みでありヨーロッパ的「近代」の体現者だといえば、さらにさらにもっと興味が広げられるだろう。
 『セガン研究報』の今号は、こうしたことへの広がりへの、予告的なものとなっているはずである。セガン教具(実物写真付き)とマリア・モンテッソーリ教育法との関連について実証的に論じた研究論文、アメリカに渡ったセガンの「教育」の実際に迫るべく課題提起をした研究論文、19世紀前半期フランス社会に生きた青年セガンの足跡を追いながら≪セガン≫に象徴される「近代」論に迫ろうとする研究ノートなど。カラー写真もふんだんに使っており、通常の研究誌とはひと味違うつくりになっている。
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