勤続20年

 副手さんが「先生、これ、昨日の」と言って、ぼくの名前が貼り付けられた手提げ封筒を持ってきて下さった。んと、「昨日の」とは何だろ?副手さん続けて曰く、「永年(勤続)のお祝いの会」。「永年」を「定年」と聞き間違えて、「ぼくはまだ定年ではないです。」などと言ってしまったが、「永年勤続者」表彰式と懇談会が昨日あったのだった。和歌山からこちらに移って20年がたったのだな。時はあまりにも早く過ぎてしまう。この20年間、2度の長期サバティカルに恵まれ、ホール・ランゲージ、フレネ教育、パリ・コミューン下の教育改革、セガンが大きな研究テーマであった。もっとも、根底には、「近代」と「現代」との狭間期の教育はどうあるべきか、などという問題意識があったわけだが、それを直接に論じてはいない。だから、やり残し感が強くある。
 手提げ封筒の中身は「目録」と「賞状」。「目録」には「金一封」とあり、それは口座に振り込んだ、とあった。何とも味気ない、実感の伴わない「金一封」である。懇親会に出席していないのだから、文句を言える立場ではないのだが。
☆流行のワンコイン・ランチ。鰯丼。昼食をご一緒したトドちゃん曰く、「すごくお得感」。板さんが目の前で、骨抜きで小骨を抜いているのを見ると、やっぱりお得感、ですね。

☆午後4時近く、男子学生が笑顔を見せて、研究室に来た。「卒業のご挨拶と非常勤ですが学校が決まったので報告です。」 彼は物理学科の学生。高校で物理を教えるけれども、総合学習も担当して欲しいと、言われたという。どんな資料があるか、どんな方法があるか、示唆が欲しいと言う。希望に燃えた晴れやかな顔を見ていると、彼等と一緒に進めた、「生徒指導の研究」の授業を思い出した。彼もそうであったようで、「非常勤先の高校で文集を見せてもらいました。生徒のありのままの声がそっくり載せられていました。この学校嫌い、とかも含めて。」「おお、ぼくの講義通信と同じだな。」「そうなんです。生活綴り方なんですね。」「総合学習の方法としてやってみたら?」「そうですね。」
 卒業後もよかったら研究室に顔をお出しなさいね、と言って、別れた。素敵な笑顔に出会えた今日はハッピーでした。