朝のリズム

気ナウ、退院後の生活を意識して、菊池先生の手を煩わせ、杖を買った。ビリヤード三昧の時にマイキューを持つのに憧れたが、今はマイツエ。
杖に関わって思い出すことがある。日本標準の「考える道徳」に採用された「朝のリズム」という小品に杖を作品テーマを象徴させたことだ。健康回復のために朝のジョギングをする少年と出会う杖をついて散策をする老人。老人の歩くリズムと少年の走るリズムとが不協和となり、少年の内面に多少のリズム感覚の狂いを生じさせた、という転回。その不協和を破ったのが、老人の少年への声かけなのだが、老人が高々と掲げられた杖に、情景象徴として、登場させた。
学校教材だからどうしても少年の心理に映して自らを理解するという指導展開を期待して綴った作品だが、今は違う、杖を頼りとして立ち、歩く老人が、高々と杖を挙げる老人は、ぼくの映し絵でありたい。そのような主題を設定したら、小品はどう綴られるだろうか。