ただ一人だけが・・・
「道徳教育の研究」は先週に引き続き、模擬参加型授業。男子学生が教師役。「音楽と私」をテーマに二人の男子学生に語ってもらいフロアから質問を出していくスタイル。一人は「楽器」、一人は「声楽」。80数人の参加者の一人を除いて全員が二人の語りに込められた「生き方」や「音楽観」に共感し、感動していた。「聴覚障害者にも音楽を楽しんでもらえる」という実践的提案は、とりわけ、多くの学生に「新たな気付き」を呼び起こしていた。そして「授業」としてのあり方に対する若干の創造的提案もあった。
それらに比して次の感想は全面否定である。
「今日の授業はまったく面白くなかった。出席して損した。
というのも、ほとんど演劇的というか観客的立場に置かれていたからである。他人の多様性を学ぶのがメインだが手法・内容共に全くだめであった。・・(中略)・・「色々な立場、モノの考え方がある事、そしてそれを尊重する、学ぶ」というのが趣旨であるはずだが、質問者の発想というか、どこをポイントにして質問したかというバラエティだけが残り、「謙虚に他に学ぶ広い心」なんて触れもしなかった。考えるための材料として貧弱であった。」(大学院生)
授業の中で、リアルタイムに、明示された形と内容で「到達」を明確にしなければならないという観念から生み出された感想なのだろうか。また質問批判が強く出されているが、当人は一切声を出していない。質問は挙手によるので自由意志が尊重されていた。授業開始時の「質問、発言が授業を作る」とのぼくの言葉はこの学生自身には届いていないのだろうな。