お花見

 貴婦人トドちゃんから「上野でお花見しながらお弁当をいただきませんか」とのご案内をいただき、喜んではせ参じました。雀も喜ぶお花見日和。

 日曜日には雨になるとの予報。つかの間のお花見日和というわけか、平日なのに人、人、人。すでに夜の宴会用にブルーシートが敷き詰められていました。「宴会で帰るところを失った人はブルーシートにくるまれるのね。」というと、貴婦人トドちゃん、ウフフフ。

 どのようなアングルがお花見を「激写!」することになるのか、慣れない老いの鶴はどぎまぎしながら、カメラファインダーを覗く。

 今もなお、「恩賜」などというネームを背負った公園の不忍池を散策しながら花すなわち桜花の風情を楽しみます。じつは花の色を色のままに写真に残すのは難しい。間違っても青空を背にすると不幸せ色になってしまう。さあ、いかにして花の色を愛でましょうか。あれこれとアングルを変えているうちに、「花の色は移りにけりないたずらにレンズ世に振り眺めせしまに」の馬鹿歌が浮かんできました。
 文字通り花そのものを構図にして・・・

 自然対人工を構図にして・・・

 みんなまとめて、これが上野だ!を構図にして・・・

 花影をテーマにして・・・

 貴婦人トドちゃん、「この人嫌いっ!」 鶴は思わず、周りをきょろきょろ。「この人」と特定できる人影をあれやこれや思い至り、さて、そのうちのどの人か?人混みの中を犬つれたおばさんか?人混みの中をこれ見よがしに胸をふくらませているねえちゃんか?人混みの中を携帯で大声でしゃべっている兄ちゃんか?人混みの中をくわえタバコの似非紳士か? 結局思い至らず、ひょっとして老いの鶴のことかと、おろおろ・・・。トドちゃん曰く、ていねいに、「この人混み嫌い!」 そうそう、トドちゃんも鶴も、人で混雑しているところは苦手なのでした。