パリ・コミューン史料邦訳 1871年4月2日通算第14号

 Journal Officiel de la republique française Troisième année No. 92 Dimanche 2 Avril 1871 より。
 

「新しい教育」協会の代表者は、昨日、ラ・コミューンの代表者たちに面会を求め、下記の要望書を手渡した。

パリ自治市へ
 一つの共和政体の下では、すべての者に保証される共和主義教育こそが、新生パリ自治市に必要であることに鑑み、
 教育の問題は、ただそれだけに留まるものではなく、あらゆる政治的社会的問題を包含し鳥瞰する根源的な問題である。その解決無くして、本当のかつ永続的な改革などなしえないだろうことに鑑み、
 コミューンや県あるいは国家によって維持される教授・訓育の建物は、どのような信条で結びあっている集団であろうとも、その成員のすべての子どもに開かれるべきであることに鑑み、
 下記署名者、「新しい教育」協会の代表者は、良心の名において、正義の名において、緊急の要望を為すものである :
 宗教的あるいは教義的教授はそれぞれの宗派の主導性と一門の私的な指導へと、そっくりそのまま引き渡されること、また費用が税金で賄われているすべての学校、すべての施設では、そうした教授は、男女にかかわらず、完全にかつ速やかに、廃止されること;
 教授と訓育の建物においては、どのような崇拝物であっても、どのような宗教画であっても、生徒や公衆の目の届くところに展示してあるものは撤去すること;
 祈り、教義、個人の良心に委ねられないことは、公共の場で、教えられ実践されてはならないこと;
 つねに事実の観察から出発し、本質的に、身体的、道徳的、知的のいずれかを含む、経験的あるいは科学的方法がもっぱら採用されるべきこと;
 宗教に関わるすべての問題は、すべて公開の検討によって、また原則的に、能力免状に関わる検討によって、完全に解消されるべきこと;
 最後に、それらの教員団体は、その存在はもはや私的なあるいは自由な機関でしかないこと;
 教育の質は、まず合理的、全体的な教授にから始められ、さらに進んで個人生活、職業生活および政治・社会生活にとって可能な限りの、よりよい職業的予備訓練となる。なお、「新しい教育」協会は、教授が第一の公共サービスとして考慮されんこと、教授は、職業的専門性に向けて単一の条件下において、両性のすべての子どもに対して無償かつ完全であるべきことを、表明する。
 終わりに、「新しい教育」協会は教授が義務であることを要求する。つまり、義務教育は、どのような社会的位置にあろうとも、すべての子どもの手に入る権利であって、その両親の、あるいは保護者の、社会の義務を意味している。
「新しい教育」協会の名において
エコール・トュルゴでの、1871年3月26日の会議で選ばれた代表
アンリエット・ガロスト サン・ポール通り43番地、  ルイズ・ラフィット サン・ポール通り43番地、  J. マニエル ドュ・ファブール・サン・マルタン 148番地の2、  J. ラマ シャロリーヌ 11番地、  レム ドゥトヴィル 33番地、  マリア・ヴルヅル サン・マリ・ドュ・タンプル 8番地

 パリ自治市は、代表に対して、教育の速やかなる改革にとって、要望書に示されたことは、まったくすばらしいものであると、応じた。つまり、パリ自治市は要望書にある改革がきわめて重要であることを理解し、解決の方向性が示された要望書の内容に取りかかるためのこれからの方針を考えたい、と応えたのである。