怒り

 某氏がある史料を閲覧したいと言われる。
 「閲覧はどのような方法でなさるご希望ですか?」
 「送っていただいて閲覧する希望です。」
 「日本の、世界のどこにもない史料をそういう方法で閲覧なさる、というご意向に驚きます。」
 「ですから、あれこれと交誼をいただいて、その中で。」
 「そういう問題を申しているのではなく、稀覯史料の送付を受けたいというそのご姿勢に、驚きます。」
 云々。仮に送付されたとしたらどうするか、と尋ねたら、コピーを取る、という。史料が傷むということには思いもよらないのだろうか。ぼくが史資料を求める時、絶対コピーの許可を得ることができない。写真もフラッシュ無し。それができなければ手書きで写す。それが研究史料の複写を得るということではないか。
 とことん歩け、とことん探せ、とことんこだわれ、と口を酸っぱくしてぼくに説教を垂れたのはどこのどなたなのだろう。某氏は確かこんなことも言っていたっけ。「あなたがはじめて私の研究対象について電話で教示を求めた時、とことん云々といったのは、あなたがぼくの世界に入り込むことを恐れただけです。」と。もう、どうにもならないな、このお方。過去のあれこれを語ることが歴史研究?冗談じゃない。