「ほっとしました」

 「道徳教育の研究」第3週目。学習指導要領の「徳目」に従い「教材」を作成する計画づくりに入った。ぼくが思春期の揺らぎを強く意識した研究課題を抱いていた頃に綴ったエッセイ「朝のリズム」を「読み聞かせ」した。その後3人のグループに別れて「朝のリズムはどの徳目に対応するか。」を出し合わせた。一致した意見を出すのではなくそれぞれの「感性」「考え」の違いを食べ合うという活動の中に道徳的実践性を込めた。三つのグループに全体発表。その後、ぼくが「朝のリズム」の執筆経過と意図を語る。「あなたたちもそうだと思うけれど、例えば挨拶行動で、カッコづけてると誰かに思われるんじゃないかとか、色んな人の目、人の評価を、こうに違いないと思い込んで尻込みをし、行動化する際に逡巡しましたよね、そういう思春期的な揺らぎ−日本的な自分隠し−をきちんと受け止めた道徳教育を行いたいという思いで綴ったものです。多くの学生がうなずきながら聞いていてくれたのは嬉しかった。
 授業終了時、教卓のところに一人の女子学生が来て、「私の受けた道徳教育のほとんどが、どれがいけない行為か、誰がだめなのか、というのばかりでうんざりしていましたが、「朝のリズム」を聞いてほっとしました。」と語ってくれた。やっぱり、ほっとする道徳教育じゃないとなぁ。