セガン教具

 若手のモンテッソリー研究者が我が研究室への来訪の意向を伝えてきた。パリ、医学史博物館のブルヌヴィル・コーナーに展示されている「セガン教具」写真をwebファイルの形でサーバーに保存しているのをご覧になったらしい。それとも、かつてHP上で公開していた時にご覧になったのか?その辺りは詳しくは伺わなかったが、イタール→セガン→ヴァレー→ドゥラシオーヴ→ブルヌヴィル・モンテッソリーと継承発展されてきた「身体」「感覚」「認知」「労働」等のための、通称「セガン教具」に着目されており、紹介説明文(フランス語)や図解ではなかなか実感的に理解がストンと来ないところに、ぼくのHPでカラー写真のそれを見いだした、ついては・・・・ということで、わざわざおいで下さるというわけだ。ぼくはセガンの主体形成史、主体性による白痴教育の普遍化の可能性の探究史に主題を置いた研究を進めてきたから、「白痴教育論」あるいは「幼児教育論」「普通教育論」に直接つながる「感覚主義教育」の課題はおろそかになっている。素人が口を出すものではない、という意識もあった。
 そういう意味では、このたびの問い合わせはぼく自身を非常な難局に身を置くことになる。しかし、「生活教育」論としてセガンの「白痴教育」を捉えていく絶好の機会ではあろう。でも、やっぱり、恥さらしになるでしょうね。いいんだもん。


2002年に医学史博物館で開催された「ブルヌヴィルとセガン」展、展示コーナー説明幕

博物館学芸員の特別の計らいで倉庫から出していただきました。

(タイトル:摑むことの教育)