グループ代表者決め
前期授業日程も半分が終わった。「教育基礎」は担当クラスを来週から交代する。他はグループ学習に入る。「参加型学習」から「参画型学習」へというわけだ。
グループをどう組織するか、例年の悩み。同類の者がべったりとくっつくため、グループ内グループに別れる傾向が生まれる。グループは6人で構成。いろいろと工夫してみるが「敵もサル者、引っ掻く者」。やっぱりべったりとくっつきあって気持ち悪い状況を見いだす。同一学科間のべたつき、くっつきが昨年から見られる傾向だが、今年も同じことが見られた。グループ活動は、グループ長によってリードされる。毎時の活動(討議)の記録を残す。グループ長は固定、記録係は持ち回り。
さて、あるクラスでのこと。このクラスには全盲学生が1人いる。グループ組織の時にはくだんの学生をアシストするように依頼−「あなたがこの君をアシストして下さい。同一グループに入って下さい。」「はい分かりました。」。全盲学生は臨時アシスト係の肩に手を置いて教室内を歩き回っていた。グループメンバーを確保するためだ。無事グループ結成。・・・いや、やはり、某学部学科男子学生がべったりとまとわりつきあっている。もちろん全盲学生に、ではない。去年からお馴染みのキャツラだけの閉鎖的小集団。そして女子だけのグループが幾つか。これもじつに不自然。女子だけのあるグループから申し出があり「偶然、私たちは女子だけになってしまいましたが、やっぱり男女混合で活動したいので、トレードしてよろしいでしょうか。」「もちろんかまいません。男子が多くいるグループと交渉して下さいね。」この女子グループは3対3のトレードを試みるが、すべて「断られ」る。先ほどのお馴染みの男子グループは、目には見えないけれど、固く鎖でつなぎあっているがごとく、どんなに女子学生が話し込んでも頑として応じない。最終的には1人のトレードでおしまい。…毎回グループメンバーを替える、という方法で対応しておられる同僚もいるが、討議の継続性を重んじるぼくは、やはり、固定メンバーによるグループ活動にこだわる。
グループ長はどうやって決めるか?ぼくの方からは指示を出さない。経年で観察していると、間違いなく、立候補はなくなっているし、指名(推薦)もなくなっている。じゃんけんが手っ取り早いようだ。全盲学生所属のグループもじゃんけん。ただ、ここは他と違った雰囲気があるし、結果もある。「ジャンケン」が大きく声掛けされ、「パー」(「グー」)(「チョキ」)が、手による表現と共に、大きく発声される。目が見えない人は音声で判断する、目が見える人は手の表現で判断する。この当たり前のことに今更のごとく気付いたのだろう健常学生たちは、ただただグループ長になりたくないという思いに支配され、いわゆる「後出し」をする方途を発見した。露骨にではなく、ほんの少しテンポをずらして。「健常学生」は発声せず、手だけで表現するので、大層便利だ。全盲学生はこうしてグループ長に選ばれた。…が、ぼくは、「ジャンケンという方法はまったく平等でなければならない。それしかジャンケンの意義はない。しかし君たちはどうだ。目が見えるという利器を凶器に代えてはいないか。」と問題提起。ジャンケンではなくあみだに変えていた…・。いやはや。まあ、遊びを楽しんでおられます、とまとめておきましょう。