徳島はサギに惚れたのだ
帰路の飛行機までには時間がある。どこをどう巡ろうか。吉野川縁散策も大いに興趣そそられる。雨上がりの空を眺めながら行き方に思い巡らせていると、大空を舞う鳥影一つ ― あれは、アオサギではないか!
アオサギの飛びゆく方を見れば、こんもりと茂った森。そこに帰るのか、それとも訪ねゆくのか?もちろんぼくの胸のつぶやきなど聞こえはしまい。
できることなら、キミの住むところを訪ねたい。小さな命の誕生の時期だから、祝ってあげたい。木枝の音を消してそっと近づく。けれどもキミは、命がけで守っている。威厳を持って、周囲を注意深く見守りながら ― こんなふうに。
ぼくに気付いたキミは、まず、仲間に警戒せよと叫ぶ。
そして、ぼくに警戒ダンスを見せ、
それからすべてを自身に引きつけるために、華麗な羽の舞を繰り返す。
キミの仲間たちの平和な時。平和な佇まい。
そして、蜂須賀の悠久の時を見守り続けるキミたち。
すべての生命あるものを見守り続けるキミたち。