「旅」の通訳者への書簡

「 FS 様
 初めまして。
 このたびは「セガン研究の足跡を辿る旅」の通訳をお引き受け下さいまして、ありがとうございます。つたない作品ですが、拙著『知的障害<イディオ>教育の開拓者セガンー孤立から社会化への探究』(新日本出版社、2010年)と、エドゥアール・セガン生誕200周年(2012年)を記念して発行した『セガン研究報』(第III期第I号、日本セガン研究会)とを謹呈させていただきたく、お届けいたします。
 HS君からFSさんに通訳をお願いできそうだ、フランスの大学で学んでおられる方だ、と伺っておりました。Hから話が伝えられた時Fさんはてっきりパリもしくはパリ近郊の大学で学んでおられるのだ思い込んでしまっていたのですが、ポアティエ大学に在籍しておられることを知り、今夏の私たちの旅には、私たちがフランス入りしフランスを発つまでの間、完全同行していただかざるを得ないのではないか、と思いました。大変なご負担をおかけすることになり、まことに恐縮しております。どうかよろしくお願いします。
 旅の同行者はほとんどが年齢の高いメンバーで構成されています。わたしにとって気のいい仲間という方々です。「セガン」に興味があるというよりは、「川口幸宏」に興味関心があるといった方がいいかもしれません。ただお一人、TYさんだけは、ご自身の研究と「セガン」とを結びつけておられますので、専門的な眼をお持ちです。
 なお、私自身は障害児教育(史)を専門としておりませんので、私のセガン研究は、激動するフランス社会を、地方のエリートの家庭に生まれた1人の男性が、どのように育ち、学び、激動社会を主体的に生き抜こうとしたのか、という問題関心で成立しています。19世紀前半期、ナポレオンI世から復古王政1830年革命を経た立憲王政、そして1848年革命という時期を対象化しています。
 なお、「川口幸宏の教育の旅」と題したHPを運営しておりますので、こちらの方も参考にしていただければと存じます。」