古書の値段なんて・・・

 今日、丸善の綿谷さんが年末の「ご挨拶」で研究室に顔を出された。にこやかな笑みを毎度いただき、こちらの気持ちがすっと落ち着く。世間的にいえばぼくの大学の後輩ということになる人だ。学部(専攻)は違うけれど。
 綿谷さんがお帰りになってから、先日いただいた古書目録を改めて見直した。あれもほしい、これもほしい、というものが沢山あるなぁ・・・ん?と目にとまったのが、コンドルセ「人間精神進歩の歴史」初版(1795年)パリ刊である。古書価格を見ると、735,000円とある。うひゃー、とても個人で購入できる価格じゃありません。かといって、個人研究費でも買えるものでもありません。
 じゃがのう・・・などと、急に先賢老人風の言葉遣いに改まる。「それやったら、うちの書架にあるでっ!」と、アホ丸出し自慢の正真正銘ぼくの出自言語となる。2000年、パリに長期滞在中、足繁く通った古書店で購入した。扉裏に、鉛筆書きで、1200と数字が書かれている。古書店のオヤジさんが書き込んだこの本の売価である。当時はフランであるので、日本円に直すと、およそ30000円。装丁が改められているので初版出版時とは外観が異なっているはずだが、中身は正真正銘初版本である。
 わーい。と叫んでも、たとえ売りに出しても紙くず同然なのが古書の売り相場(古書バイヤーから見れば買い相場)。こういうのをきっと、宝の持ち腐れ、って言うんだろうなぁ。そうやったら、さっさと読まんかい!積ん読にはもったいなさすぎるで、ホンマ。