胸掻きむしるほどの悔しさ

 以下は空想上の会話です。
 「そのことについては口頭で説明をしたから、それを理解しないあなたに問題がある。」
 「とても大事なことだから、口頭ではなく文書でも説明を残して欲しかった。他の項目は文書説明になっている。」
 「口頭説明で理解できなかったのは君だけなのだから、こちらには問題はない。」
 「一人でも理解できなかったという現実は問題があるとは考えないのか。」
 「君を除いてみんなが理解できたということの事実の重さを考えろ。」
 かくして「一人一人を大切にする教育」というスローガンはまやかしであることが証明された。しかし、そんなことが証明されても、除外された一人の人生はまるっきり狂ってしまう。
 肩を震わせながら帰宅の途につく人あり。