自主ゼミフィナーレ

 一冊の小さなファイルをいただいた。表表紙にはクロネコちゃんが指揮をする音楽会のデザインで、「2012.5.2」と書かれている。裏表紙にはやはりクロネコちゃんが描かれているが音楽のリズムに乗っている様子、じっと聞き耳を立てている様子が描かれている。そして、「2013.12.18」という日付が書かれている。昨日の日付だ。ファイルに綴じられているのは、自主ゼミ生たちのぼく宛のメッセージカード。、「2012.5.2」はこのゼミの開始の日付。クロネコちゃんはぼくを象徴しているのだろう、初めのうちは懸命に指揮をし煽っていた。そして昨日のフィナーレでは、皆が報告者をアシストし研究課題を膨らませていた。クロネコちゃんは指揮者である必要はなくなっていた。「ゼミの先生ではなく、先生もゼミの一員ですからね!!」と裏表紙に綴られている。
 昨年度今年度と2年にわたって営まれてきた自主ゼミの幕が下りた。みんな、ありがとう。映画「今を生きる」のラストシーン、学校を追われるキーティング先生が、教室のドアに手をかけ、振り向きながら、「サンキューボーイズ、サンキュー」と語る。ぼくはまさに心境としてはそれにあたる。別に追われて去るわけではないが、学生たちとの関わりの中から、ぼくは人間としてどう生きるべきかを、沢山教えられた。だから、サンキュー。
ゼミ生たちも、映画の中の生徒たちと同じように、自分の両足で「押しつけ知」を踏みつけ、乗り越えていくことだろう、仲間の中で。
 とうとう別れの鐘が鳴り始めました。 Adieu!