読書

入院生活の半分以上はリハビリだけだから、時間をもて余す。夢さんに頼んで持ってきて貰った新著、夢さんが差し入れてくれたねこまんがのほか、祝う会で配布されたぼくへの贈り物・川口ゼミ報告集などをベッドに横になって幾度も読み返して、時を過ごした。だが、次第に心が入らないようになっていった。
ベッドから離れて病棟を歩くことを許されるようになって以来、面会等に使えるデイルームに、貸本コーナーがあることん知り、大いに利用している。
懐かしい山手樹一郎の全集が、歯抜けながら並んでいる。ラジオやテレビで馴染んだ作品ばかり。人情、世話、幕末維新、と、少年期、青年期に心踊らせた作品ばかりだ。
数日前からは、新編八犬伝。作品に登場する地名がぼくの探検心をくすぐる。既知のそれが多いことに驚かされる。フランスとおんなじやん、と感動もする。昔の地形を想像し、旅をする。
楽しきかな、ベッド読書。