壁に…

 我が居室となった部屋は長年あかずの間となっていた。実態は上娘の?不用品あるいは貴重品隠し場所として活用されてきた。この悪癖?は何を隠そう我が亡き母の習癖を受け継いでいる。
 長年日常的には閉鎖されている、つまり物置小屋同然となっていた。今回ぼくの静養室に明け渡され、色々整備してきているが、今朝、興味深い痕跡を見いだした。壁に二個をセットとした小さな卵の殻が五セット秩序よく並んで張り付いているではないか?
 なんだろう?疑問はすぐに解けた。
 この部屋に入って初めて南の雨戸を開けようとしたら上のサンのところで、チョロリと動くものがいる。灰色のかわいい目をしたヤモリである。こういう生き物には目のない我が家族。細君を呼ぶと、あら〜、壁の卵さんが大きくなったのね、と生き物に優しく声かけをし、潰さないように戸のあけたてをしなさいね、ときつい声をぼくに投げつけて、さっさと自分の持ち場に戻っていった。
 我が家の日常精神を取り戻しつつある今朝の光景。