「ある日突然、なのよ!」

 昨日は雨のため、リハビリ散歩中止。今日も午前中は様子見。午後1時半出発、午後4時半帰宅。8155歩。長丁場となったため、今谷上町の鎮守様へのお詣りを終えてからの帰路はあえぎあえぎ。パリの一日の終わりのよう。
 自宅→児童公園→今谷刑場跡→「奇跡の野馬土手」、じつは「幻の野馬土手跡」 ここで今日の散歩の目的は潰えてしまった。さ、このあと、どうしようか。やけくそだ、南柏駅前に出てモスバーガーに寄って「スパイシーチリドックポテトエスセットホットレモンティー」と、一気に注文しようか。もう2ヶ月以上口にしていないから、餓えている。ばれたら叱られるぞ―。
 モスの手前、角を曲がるちょっと前に介護用品の店がある。前から気になっていた店だ。杖つき歩行で一番の悩みは悪い脚を庇うせいか、健康な右脚が異常に疲れ、あまつさえ右脚付け根の痛みで苦しむということだ。このために長丁場の外出ができない。杖に折りたたみができる椅子がついている介護用品はないものか…。ガラス越しに店内のグッズをあれこれ物色しているところへ点員が昼食休憩から戻ってきた。招じ入れられて、状況や悩み、希望などを語ると、パンフレットをとりだし一つ一つの品について説明を加えてくれた。同時に、会話サービスも入る。「歩数を多くするという目的よりも、歩く対象目的を持った方がいいですよ。私なんか食べ物が好きだから、今日は天ぷらを買いにセブンイレブンに行こう!とかね。」「それだったら、ぼくは、江戸時代、この地域が広大な牧場であったので、その痕跡を探しに歩きます。」「へー、知りませんでした。で、あるの?」「このあと行こうと思ってるんだけど、(やにわに決意表明!)線路を越えた向こうに松ヶ谷という地区があるのね、そこにかなり大きな野馬土手と言って、牧場と村とを区切る柵のようなものね、それが残っているはずです。」「いいわね、そういう目的を持って歩くのが大切なのよ、治りというか、歩けるようになるのが早いの。」「いいこと聞いた。がんばるぞ。」「そうそう、その調子。それとね、ある日突然、えっ?と思う時がくるのよ。痛みもなく、びっこも引かないで、歩ける時が。」「本当ですか!!大きな夢ををいただいたな。」「それがいつのことかはわからないけど、本当に、えっ?何ともない!という瞬間がくるのよ。わたしがそうだったの。」「夢見ていいんですね。」「そうよ。」
 希望をいただき、元気に駅を超えて、松ヶ丘地区に進む。柏市流山市との境界に「松ヶ丘野馬土手」があるはずだ。歩いて行くうちにかなり懐かしい「臭い」が蘇ってきた。そうだ、25歳の時、中学校のお坊ちゃんの家庭教師を務めたお宅がこのあたりだったなぁ。向こうに見えるこんもりとした林が「松ヶ丘野馬土手」跡だろう。

 野馬土手であることを記した流山市教育委員会の案内看板が建てられている。それには野馬土手の構造も図解されていた。
 
 土手の中に入り込んで構造を体感することは可能なのだが、いかんせん、ぼくの身体が言うことを聞かない。「ある日突然!」の奇跡が起こって後の楽しみにして、帰路に着いた。もう一度振り返る…。これは自然の痕跡ではない、歴史の生き証人なのだ。