ぼくの初めての自主ゼミ経験

 東京教育大学に入って、いきなりの挫折と大きな風呂敷を広げた将来への希望の湧出と、そんな大学生活の経験の中で、非行と格闘する中学教師、林友三郎先生のお話をだるまストーブを囲みながら伺ったことを、ふと思い出した。学生が何人いたのか、だるまストーブを囲んでいた光景はくっきり脳裏に焼き付けられているから、10名ほどだったのだろか。同級生もいたはずだが誰が参加していたか思い出せない。先輩の何人かは今でも覚えている。いずれも後に大学人になった人だ。教育現場の、ぼくなどには考えもつかない、荒れ狂い低学力の生徒たちと格闘する様子を、淡々と語っておられた友三郎先生。主催は教育学科学生・院生・教官の研究親睦団体「現代教育科学研究会」(ゲンキョウケン)であったと思うが、どうだったろうか。「授業や単位とは関係なく、自分たちの興味関心からテーマ・講師を選んで講演会や学習を行う。」ということであったから、まぎれもなく「自主ゼミ」であった。当時、既に、授業をサボって自分勝手に遊び回る「自主ゼミ」と自嘲する行動をとっていたが、この本物の自主ゼミの学びは、参加動機が何であったのかさっぱり思い出せないが、参加した結果はぼくの大学生活の一つの太い柱となり続ける。